過保護のカホコ

『過保護のカホコ』第8話・麦野はじめへのお母さんからの手紙はこれ!!【ネタバレ】

『過保護のカホコ』第8話・麦野初(竹内涼真)への母親(高橋ひとみ)からの手紙・全文はこちら!!

麦野初様

この手紙を読んでいるってことは、あなたはきっと立派な大人になって、毎日一生懸命生きてるんでしょうね。
でも、心の中では今でも、七歳の時、自分を置いて出ていった母のことを許せないでいると思います。

あなたが幼い頃から、私はギャンブルがやめられないあなたのお父さんの借金に苦しみました。
お父さんが死んでからも毎日毎日借金の返済に追われ、辛く苦しい現実から逃げたくて、私は、覚醒剤に手を出してしまったんです。

やめよう、やめようと思っても駄目でした。
怖くなった私は、一緒に死のうと思い、あなたの首を絞めようとしました。
でもその時、あなたの手に赤い絵の具が握られているのに気が付いたんです。
私は自分がやろうとしていることの恐ろしさに体が震えました。
この子の未来は決して奪ってはいけない。
そう思った私はあなたを施設に預け、自首して罪を償おうと決めたんです。

でも、刑務所を出た後も私はまた同じ罪を犯してしまいました。
だからあなたに会う勇気が出ませんでした。
何年かして、更生施設で懸命に励ましてくれた職員の男性のおかげでやっと立ち直ることができ、その人と家庭を持つことになったんです。
ただ、その人には亡くなった奥さんとの間に子供がいたので、あなたのことを言い出すことが出来ませんでした。
こんなこと言う資格はないけど今はただ、『僕がピカソを超えて、お母さんに楽させてあげるからね』と言ってくれた初が大好きな絵で成功し、素敵な人と幸せな家族をつくることだけを祈っています。

7歳の時以来の麦野初くん(竹内涼真)と母親(高橋ひとみ)との再会シーンが泣けました第8話でした。
本当に、あの時、初くんの隣にカホコ(高畑充希)がいてくれて良かったなぁ、としみじみ思いました。
あのシーンは涙なしにはみられませんでしたね。

普通の人って弱いんですよね、人間ってみんな。
傷だとか過去だとか、自分だとか向き合いたくないんです。
背中を向けて、見ないふりして、隠しておいた方が楽なんです。辛かった事とか、可哀想な自分とか、受け止めきれないんです。
無かった事にして、無理にでも明るくおちゃらけておけば、時はどんどん流れるんです。
みんなそうやって少しだけぎこちない自分を生きていたりするんです。
でも、今の初くんにはカホコがいました。だから、今まで逃げてきた目を背けてきた真実に、向き合おうと思えたのではないでしょうか。

初くんの母親・もと子も弱い人間でした。自分は悪くなかった。
でもあまりに辛すぎて直視できないほどの苦しみに耐えられなくて一度逃げ出してしまった。そのたった一歩が彼女を追い詰めてしまった。後悔して懺悔して、それでも足りない更生の日々を生きてきました。すぐにでも向かいに行きたかったでしょう。抱き締めてあげたかったでしょう。
町で小さい子供を見掛けるたびに。
初を犯罪者の息子にしていいのか、離れ離れになったあの日から、もと子もまた苦しんだはずです。
でも、『ピカソを超える』という夢を追いかけている初を応援したかったから。
だから、もと子は息子(初)がいた事を隠して生きることにしました。
再婚相手の子どもたちを犯罪者の子どもにして良いのか、そこもきっと変わらないくらい悩んだはずです。
しかし、パートナーである、更生の時から見守っていてくれたご主人がすべて分かったうえで受け止めてくれている。
これが決定的な違いであり、大きな支えだった事でしょう。
自分は犯罪者でありながら、愛する息子を捨てるという選択をした超極悪人です。
そして初くんもまた、自分が可哀想な子供だったことを忘れようと奥にしまい込んで生きていきました。
きっとカホコに出会わなかったら、昔の自分、過去、そして現在の母親のことを受け止めることは出来なかったでしょう。
なにかで施設に立ち寄り、手紙に触れたとしても、こうはならなかったはずです。
勝手に覚醒剤?勝手に再婚?実子がいるくせに新しい家族?すべてにおいて、はぁ?だったでしょう。
だって人間そんなに強くないから、そんな大きな器なんて持っていないし、何でもハイハイ言って許せるほど人間できてないから。
本当に辛いシーンです。
ずっと心の中で求めていた母親が違う子供を愛して、幸せに暮らしているなんて。こっちはずっと一人ぼっちでいたのに。
絶対に見たくない場面だったはずです。なんなら死んでてくれた方がマシかもとすら思えるような。
ですが、そこを初はこれからもずっと幸せでいて貰わないと、と言ったのでした。
それはずばり、自分にはカホコがいるから。カホコが隣にいてくれて精神的に落ち着いている自分がいると気付いたから。
自分の中にある優しさ穏やかさから、初めて他人を思いやる余裕が生まれたのでしょうか。

第8話の竹内涼真さんの涙の演技は目を見張るものがありました!
とっても良いシーンでした。