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『砂の塔~知りすぎた隣人』第9話ネタバレ&感想その2

『砂の塔』第9話ネタバレ&感想PART2!


『砂の塔』第9話ネタバレ&感想その1はこちら

「せっかくだし、今日はみんなで楽しい想い出つくろ!」
亜紀(菅野美穂)の明るい言葉に戸惑っているような和樹(佐野勇斗)。
アスレチック遊具のたくさんある場所に来ている高野家族。
アスレチックにのぼり、上からみんなで和樹の名前を呼ぶ。下にいる和樹はみんなの写真を撮ってやっている。
みんなが和樹、和樹、と名前を呼び、手を振っている。
慌てている亜紀、健一(田中直樹)の姿、そら(稲垣来泉)の笑顔、笑顔の亜紀。和樹は次々にみんなの写真を撮る。
みんなでキャンプ場のテーブルに座り、お昼を食べる。
健一に感想を促され、美味しい、と笑顔を見せた和樹に感激している亜紀。
「お兄ちゃん美味しいね」
そらの言葉に笑顔を見せる和樹。
夜、少しの明かりと、小さな火を囲み、向かい合う三人。
静かに健一が口を開く。
「いいか、和樹。父さんも母さんも本当はお前を北海道になんか行かなせたくない。ずっと4人で暮らしたい」
俯いて話を聞いている和樹。
「でも、お前がどうしてもって言うなら、どうして家族を置いて北海道に行きたいのか、ちゃんと話してくれないか?」
「和樹、お願い」、と亜紀も言葉を添える。
和樹はゆっくりと口を開く。
「ずっと、街を歩いてるのが怖かった」、と。
「角を曲がるたび、あいつらに会う気がして」
「お前をいじめていたやつらか?」、と健一。
頷く和樹。
「でも、北海道にいたらそういう不安がなかった。久し振りに目の前が明るくなったって言うか、それにいじめのことだけじゃない。本当の母親って人に、話を聞きたいんだ。なんで僕は生まれて、どうして僕を捨てたのか。それ聞かないと、いつまでも気持ちがグチャグチャしたままな気がする」
お願いします、行かせてください、と和樹は頭を下げる。
それを受け止める亜紀。
「頭を下げるのはお母さんの方だよ」
その言葉に顔を上げる和樹。
「これまで、本当のお母さんのこと、話さなくてごめんね」
そう言って、亜紀も和樹に頭を下げる。
「お母さん、自信なかったんだ。和樹を傷つけずに、上手く言えるかなって。先延ばしにしてるうちにどんどん言えなくなって…」
「それは、俺も…」、と健一。
「でも、これからは変わるよ、今度和樹に会ったときには、和樹の前で胸を張ってられるお母さんになる」
亜紀の顔を見詰める和樹。
「だから行っておいで」、と亜紀は微笑みを見せる。
「本当のお母さんお話、聞いてきなさい。和樹がどんな結論を出そうと、応援するつもりだから」
亜紀はそう言って、パパ、と健一に声を掛ける。何度も頷く健一。
深く頭を下げる和樹。
「ありがとう」
その頬には涙が伝っていた。微笑む亜紀。
夜中、テントの中で4人、並んで寝ている場面。和樹、健一、そら、亜紀の並び。
そらだけが寝入っている。ふと亜紀が思い出し、和樹に声を掛ける。
「明日行く前に、病院行っとかないと」
うん、と答えて、寝返りを打ち、みんなに背を向ける和樹。
≪亜紀さんと二度と会わないって、約束できる?≫
和樹は一人、弓子の言葉を思い出していた。

翌日、診察が終わり、診察室を出る和樹。
ふと少女の口笛が聞こえ、顔を向ける和樹。ツインテールの幼い少女が座っていた。口笛が聞こえている。和樹はそちらへ歩み寄り、後ろ姿に声を掛ける。
「きれいな歌だね」
その少女は口笛を止め、振り返って言った。
「ハーメルンの歌だよ」、と。
驚く和樹。ふいに若手刑事の津久井(上杉柊平)がやって来る。
「千晶ちゃん、だめじゃないか!こんなことにいちゃあ」
そう言って、千晶ちゃんを抱き上げ、歩き出す。すると津久井は和樹に気が付いた。
「あれ、もしかして高野和樹くん?」
和樹も津久井を思い出す。
「ずっと心配してたんだよ、あの後どうなったのかって。」
頭を下げる和樹。
「なんであんな写真撮ったのか、ご両親にはちゃんと説明した?」
母親に怒られて泣いている子供や、パチンコに興じる母親、いろいろな親子の写真が回想される。
「いや…」
俯く和樹。

CM

高野家。キッチンでカツサンドをパックに詰める亜紀。
「お兄ちゃん、そろそろ時間…」
亜紀の声と同時に、部屋からそらを抱っこしている和樹が出てくる。
「そら、おにいちゃんもう行かなきゃいけないの」
「え~。どこにぃ~?」
「ちょっと出かけるんだ」、と健一も言う。
そらを降ろす和樹。
「そらはパパと留守番な」
健一の言葉を受けてそらが言う。じゃあ、お兄ちゃん、と耳打ちをする。
「帰ってきたら、クリスマスプレゼントのサプライス、パパとママに」
「そら、兄ちゃん、もう…」
和樹が言い掛けると、亜紀が歩み寄る。
「さぁ、もう行こう」
和樹は健一に振り返る。真っ直ぐに見詰めて、行ってきます、と告げる。
硬い表情ながらも頷く健一。
玄関が閉まると、窓辺によって行く健一。
そらはクリスマスイベントの案内の用紙を持って、寝室に一人で入っていく。
そして健一のスマホを操作し、どこだかへ電話をかけ始めた。
「もしもし?」
マンションの外にタクシーが止まっている。その前に立つ和樹と亜紀。
「本当に空港まで送ってかなくていいの?」、と亜紀。
「うん」
「じゃあ、これ持って行きなさい」
そう言って、亜紀は大きなトートバックを差し出す。あまりの重さに驚いた和樹は中を見る。
「なにこれ」
洋服やみかんなどが所狭しと詰まっている。
「北海道は寒いだろうから、厚手のセーターと靴下とホッカイロとみかん。あ、あと、お兄ちゃんの好きなカツサンド」
「いや、こんな。食べられない」
和樹が呆れたように笑う。
「いいから!」
それから亜紀は思い出したようにそらの作った仲良し家族のドングリを和樹に渡す。
「そらにはお母さんから伝えとくから」
頷く和樹。
「風邪ひかないようにね。和樹は喉が弱いから」
亜紀の顔を見る和樹。
「あったかくして、うがいして、みかん食べて」
「うん」
黙り込む亜紀。そして和樹に近寄り、両手で腕をポンポン、と触る。
「いつの間にこんなに大きくなっちゃったんだろうなぁ。あんなにちっちゃかったのに」
和樹の顔を見ながら亜紀は言う。
「え?」
「始めて和樹を抱っこした時、2歳だった。紅葉みたいにちっちゃな手でね、お母さんの指をぎゅって握ってくれて」
そう言って、和樹の指を握る亜紀。
「私、この子のお母さんになるんだなぁって思ったら、不安もあったけど、もう嬉しくて愛おしくて。」
和樹の頬には涙が流れていた。
「胸がいっぱいだった」
和樹、と泣いている和樹に呼びかける亜紀。
「お母さんの所に来てくれてありがとう。」
しあわせを、と続けて亜紀は言う。
「幸せをいっぱいありがとう」
亜紀は力いっぱいに和樹を抱き締める。優しく頭を撫でる。
じゃあね、と微笑む。
「いつでも戻っておいで。待ってるから」
小さく頷く和樹をタクシーに促す。中に座り込む和樹。タクシーは走り出す。
その頃、道を走っていた生方はタクシーに乗ってどこかへ走っていく和樹を見掛ける。
寝室に来た健一。クリスマス会のお知らせの用紙の上に自分の携帯が置いてある。そのクリスマス会の担当の名前に生方(080-14…)、とある。
不思議に思った健一。着信履歴に080-14…の知らない番号が載っている。
「そら、誰かに電話した?」
健一の問いに何も答えずそらは部屋から出て行ってしまう。
マンションのロビーに帰って来ると、ロビーが何やら騒がしい。亜紀の所へ梨乃たちのいつものママさん集団がやって来る。周りにもたくさんのママさん達が集まって、なにかを書いている。
「署名できますか?」
亜紀が驚いていると、莉乃が言う。
「亜紀さん、ご主人、寛子さんのご主人の事件に巻き込まれて、ひどい目に遭ったんですって?」
「いえ」
「これ、亜紀さんも署名してくれない?」
そう言って梨乃はアンケートのような用紙を差し出す。
「犯罪者一家の退去を願う有志一同?」、と亜紀は声に出して読む。

『犯罪者一家の退去を願います!
スカイグランドタワーにお住いの皆様、最上階に住んでいる犯罪者一家をご存知でしょうか。先日より、インターネットニュースで報道されましたイベント会社社長の未成年売買の犯人が、このマンションの最上階に住んでいます。
そんな犯罪者一家をこのままマンションに住まわせたままで良いのでしょうか。
私たちは、犯罪者一家をこのままマンション内に野放しにしておくことに断固反対です。皆様の考えをお聞かせください。
私たちの考えに賛同して下さる方は、ぜひ、署名活動にご協力ください』

そこにはもう何人かの署名がなされている。
「事件の報道があってからマスコミがタワーの周りをウロウロしてるでしょう?子供に悪い影響が出ないかって心配で」
「でも、寛子さんが悪い訳じゃ…」
私たちの大事な子供たちのためよ、と署名を促される亜紀。
≪今度和樹に会ったときには、和樹の前で胸を張ってられるお母さんになる≫
亜紀は和樹の前で、和樹と約束した自分の言葉を思い出した。
「できません」
驚くママさん達。
「こんなの、いじめと一緒じゃないですか」
「あなただって寛子さんにはずいぶん嫌な目に遭わされたじゃない」、と梨乃。
「確かに、寛子さんにも欠点はあると思います、でもそれはみんな一緒ですよね?梨乃さんだって、あの、私だって…」
その言葉に顔を見合わせるママさん達。梨乃も目を逸らす。
「母親は大変な仕事です。だからこそ、母親同士助け合えないでしょうか。お互いにダメなところは許し合って、支え合えないでしょうか」
ロビーの近くにいたママさん達、全員が亜紀の話に聞き入っていた。
立派な演説だね、と梨乃が口を開く。
でも正論や綺麗ごとで子育てなんかできない。言ったよね?ママが嫌われると子供は友達出来ない、って。
「それでも構いません」
亜紀は言った。
「私は、子供たちの前で胸を張っていられる母親でいたいんです」
マンションの前の芝生のベンチに座っている寛子(横山めぐみ)と俊介。羨ましそうに遊んでいる親子連れを眺めている。会話もなく、ただ座っているだけの寛子と俊介。
俊介ちゃん、と、亜紀が後ろから声を掛ける。
「そらちゃんと一緒に遊んでくれるかな」
驚いて亜紀を見る寛子。
俊ちゃん、あそぼ!とそら。
うん!、と笑顔いっぱいの俊介。う~ん、やっぱり子供に罪はない!!
笑って見ている亜紀。
亜紀の方を気まずそうに見る寛子。笑顔で会釈する亜紀。涙目のような寛子も小さく頭を下げる。
玄関から梨乃たちママさん集団が出てくると、俊介の飛ばすオモチャの飛行機に大笑いしている寛子親子が目に入る。そのとなりには楽しそうに遊ぶそらと亜紀。
その光景を険しい表情で見ている梨乃たちママさん集団。
遠くに飛んでいく飛行機を見詰める亜紀。

空港のシーンに映る。
空港の待合ソファーに座り、包帯だらけの手のひらの上の、仲良し家族どんぐりを見詰めている和樹。すると突然後ろからガシっと肩を強く掴まれる。驚く和樹は立ち上がる。目の前には息を切らした生方(岩田剛典)がいた。
「なにやってんだよ、お母さん待ってんだろ!」
僕は、本当のお母さんに会いに、和樹がそう言い掛けると、生方がまくし立てる。
「本当のお母さんって誰だよ、亜紀さんしかいないだろ!」
「よくそんなことが言えるわね」
ここで後ろから弓子(松嶋菜々子)が登場。振り返る生方。
「夜中にこそこそ亜紀さんと会って、和樹くんを傷つけたのは誰?」
目を伏せる生方。ハッキリさせましょうよ、あなたの亜紀さんへの気持ち、と弓子は言う。
弓子を睨む生方。「息子さんの前じゃ答えづらしいかしら?」
生方は和樹を見る。和樹は生方をじっと見ている。
「確かに、僕はきみのお母さんが好きだった」、生方はゆっくりと口を開いた。
「でも、お母さんの気持ちの中に、俺のことなんか一つもなかった。俺の入る隙間なんか1ミリもなかった。いつもきみやそらちゃんや旦那さんのことだけを思ってる。そんなことぐらいきみも分かってるだろ?」
目を伏せる和樹。
「そろそろ時間ね、行きましょう」
和樹の荷物を持ち、歩き出す弓子。和樹も鞄を背負う。
「亜紀さんは、きみのことを体の一部だって言ったんだぞ。そんなこと言ってくれる母親、他にいるかよ!」叫ぶ生方。それを振り切るように、弓子よりも早く先へ進んでいく和樹。

マンションの場面に戻り、亜紀は和樹の部屋に入る。
段ボールにまとめられ、綺麗になった殺風景な部屋に、和樹の高校の制服だけがハンガーにかかっている。その制服を手に取り、ベッドに座る亜紀。和樹のことを思い出す。
そらと微笑む和樹の笑顔。芝生でそらと待っててくれた和樹のお帰り、待ってたよ、という言葉。
≪うちの母は、ちょっと抜けてるけど、でもいつも僕らのことだけを考えてくれてます≫
ハロウィンイベントでビデオを撮る際に、はにかみながら言ってくれた和樹の表情。キャンプで美味しい、と笑った和樹の顔。ありがとう、と流したキャンプでの夜の涙。
亜紀の目に涙があふれる。制服を抱きしめる。
和樹の部屋から亜紀の泣く声が聞こえてくる事に気付く健一。
突然、空港で足を止める和樹。
涙に明け暮れる亜紀。

「どうしたの?」
止まってしまった和樹に気付き、弓子が振り返って聞く。
「痛いんです」」
左胸を押さえて和樹はうつむいたまま話す。
「なんか、ここが、すごい痛い」
和樹は亜紀を思い出していた。
和樹のお金で買ったサプライズのネックレスを喜んでいる笑顔の亜紀。
≪嬉しいなぁ≫、という亜紀に≪似合う≫、と返した自分。
妊婦さんのためのイベントで手伝った自分に対して≪ありがとう。お兄ちゃんとそらちゃんのお蔭≫、と嬉しそうに笑って言っていた亜紀の笑顔。
≪みんなといると嫌なこと全~部吹き飛んじゃう!≫
キャンプでみんなで笑いあった思い出。和樹は思い出していた。
「なんだか泣いてる気がするんです」
和樹は弓子に顔を上げ、「母さんが」、と。
驚く弓子。
強い表情の和樹。

CM
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そらが亜紀の携帯を届けに、和樹の部屋に入ってくる。
「ママ~?」
「どうしたぁ?」
涙を隠して答える亜紀。ブルブルしてるよー、と渡すそら。
携帯を開いて電話を取る。
「俺」
電話の向こうからは和樹の声。
「どうしたの?忘れもの?」
「今から帰るから」、と和樹の声は言う。
「どこに?」
「うちに」
和樹はすでに空港を出ていた。
「うちに、って、え?北海道は?」
電話口で慌てている亜紀。
やめた、と笑顔を見せて答える和樹。
「本当のお母さんは?会って話を聞くんでしょ?」
「もういいんだよ」
和樹は言う。
「やっぱり、俺の家族は父さんと母さんとそらだ」
そう言って、自分のポケットから仲良し家族どんぐりを出して、手のひらの上で開いた。
「やっとわかった」
目にいっぱいの涙をためている亜紀。
「家族と別れるよりつらいことなんてない」
和樹の言葉に涙で、声を出せない亜紀。
「あの、警察に疑われた写真、あれは、」俯いて話し出す和樹。
「街で色んなお母さん見るたび、ああいう母親の子供は可哀想とか、ああいう母親は羨ましいとか。つい母さんに重ねちゃって、あんな騒ぎになるなんて思わなかった。ごめん」
声が出せず、一人で頭を振る亜紀。
「その他にもいろいろ、今までごめん」
「今から帰る。そらに頼まれてるサプライズ買って、すぐ帰るから」
生き生きとした声で、和樹はそう言って、電話を切った。
電話を切った和樹は、微笑みを称えながら、家までの道を走りだした。
驚いた顔のままの亜紀が、そろそろとリビングの健一に近付いて来る。
「ママ?」いぶかしげな健一。
「お兄ちゃん帰って来るって」
「え?」
「サプライズ買ってから」
亜紀がそういうと、そらが声を上げる。
「え~!サプライスって内緒なのにぃ!」、と立ち上がる。
「そうだねぇ、内緒なのにお兄ちゃん言っちゃったねぇ」、と笑って亜紀はそらを抱きしめる。
隣で泣いている健一。それを笑って見ている亜紀。
「そら、先生にお願いしたんだよ。助けてくださいって」
「え~?」
そらの不思議な言葉を笑って聞いていた亜紀だが、突然、健一がみんなに抱き着いてきた。笑顔に包まれる三人。

一方、一人空港で佇む弓子。
和樹はカメラの入ったバックを空港に置き忘れてしまっていた。
するとふいに弓子の携帯が鳴る。
「なんですか、話って」
弓子はあるお店の中に座っている。その目の前にはいるのは荒又だった。
「高野亜紀さんから話を聞いたよ」
荒又は言う。「砂山崩しか」、と。
「え?」
「砂山の真ん中に棒を刺し、棒が倒れるまで少しずつ切り崩していく、あれだよ。最初は高野亜紀の友人関係、次に子供たちを次々と切り崩し、最後に家族という名の棒を倒すはずだった、計算では。」
楽しそうなゲームですね、と表情を変えずに弓子。
「潮時じゃねぇか?」
荒又は目の前のコーヒーに、ミルクを注ぐ。弓子は鞄を取り、立ち上がる。
「佐々木弓子、もう諦めろ」
振り返る弓子に荒又は言う。
「お前のやってることは、本当に和樹くんのためか?もう分ってるはずだ、こんなやり方で幸せになれる訳ないって」
重たい表情で、お店を後にした弓子。その後ろ姿を見詰めている荒又。
マンションの部屋に戻った弓子。
和樹が置き忘れて行ったカメラのデータを見ている。最後の家族の時間と思われるキャンプの写真だった。そらを抱きしめ、笑顔の亜紀の写真。それを見て呆然としている弓子。カメラを置き、フラワーアレンジメント用の背の高いテーブルの方へ歩いていく。そして泣きじゃくりながら、飾ってあるお花を持ち上げ、花瓶やお花を次々に、全部倒して行く。泣き叫びながら花瓶を振り上げて割り、涙に崩れる弓子。

タワーマンションの前を歩いている黒フードをかぶった人物。
「もう一回、よく思い出してみようか」
病院の千晶ちゃんお前に座った津久井がそう声を掛ける。
「え~」、と千晶ちゃん。
「君と一緒にいた犯人は男の人だった?」
千晶ちゃんの隣に座って津久井。首をかしげるようなしぐさの千晶ちゃん。
タワーマンションの階段を何人かの子供たちが下りてくる。その横を通って階段を上っていく黒いフードの人物。
「女の人じゃないんだね?」
またまた首をかしげる千晶ちゃん。
「どっちなんだよ~」、と脱力する津久井。
黒いフードの人物はクリスマスツリーの飾ってあるマンションのライブラリーの部屋に入る。そこにはたくさんの子供達が本を読んでいて、賑わっている。
「千晶ちゃん、もしかして男と女二人だったってこと?」
歩みを進める黒いフードの人物はある場所で足を止まる。近付く人物に気付く、ある子供。そちらに顔をあげる。それは一人で本を読んでいた寛子の息子、俊介だった。
大きく頷く千晶ちゃん。
「二人組?」
「はい」
荒又に報告する津久井。
「ハーメルンの犯人は、男女の共犯じゃないか、と」
「こっちも情報掴んだぞ」
荒又もそう力強く言い、資料を津久井に差し出す。
「例の、音楽療法の関係者だ」その資料には、

『清名大学病院 音楽音響医学 認知症医療学研究科
小峰教授 音楽療法実験 関係者リスト
実施日時 2013年8月16日 13時~16時
実施場所 認知症グループホーム「ひまわりのうた」
住所   山梨県北都留郡朝霧村上田2563
担当者  堀口太郎(44)
連絡先  03-25-45』

「山梨県朝霧村?」
資料を読む津久井。
「千晶ちゃんが発見された場所から約20Km。廃村になった集落だ」地図を広げる。
「ついにホシの尻尾を捕まえたかもしれんぞ」
慌てて電話をしながら走っている寛子。
「俊介がいないんだけど、知らない?」
俊介が座っていたソファーには誰もおらず、ジュースとお菓子と絵本がそのまま残されていた。
一方、弓子の家。いつものモニターの部屋にやって来る弓子。
「お兄ちゃんまだかなぁ」
高野家が映っている。
「サプライズ迷ってるのかもねぇ」、と亜紀の声。
画面には2016-12-04 19:54:32
険しい表情でコードを引き抜く弓子。画面は真っ暗になり、部屋には静寂が訪れる。
今度はマンションの階段が映る。
表示はR/50F
なにか、ビニール袋のようなものを嬉しそうに鞄に詰め込んでいる和樹。階段のところで、しまい終えると、嬉しそうに鞄を背負い直した。急いで階段を降りていく。
場所は49F/48Fの階段。
サプライズのためとはいえ、こんな上まで上がってくる必要あったのかな?自分ちは25階なのに(笑)。こんなに上まで来ないとバレちゃうって思うかねぇ?もっと普通に隠せるでしょ!?(笑)
ふと口笛が聞こえてきて、足を止める和樹。
降りて来た階段をまた上がろうとする和樹。ふと病院で会った千晶ちゃんとのやり取りを思い出す。
≪ハーメルンの歌だよ≫
その曲と、階段の向こうから流れてくる口笛が同じだと和樹は気付く。
黒いフードの人物が階段にやって来る。
見ない振りをして、階段を平常心で降りて行こうとする和樹。ふと顔をあげると、人物の顔が見える。驚き、目を見開く和樹。マンションの場面に戻り、亜紀は自分の携帯が鳴っている事に気付く。
「もしもし」
「母さん?俺、警察行ってくる」
小声でそう言って階段を足早に降りていく和樹。
「え?」
「もしかしたら俺、犯人見たかも」
和樹は立ち止まり、もう一度階段の上を見上げる。
「犯人?なんのこと?」
「だから、ハーメルン…」
と言い掛け、階段を降りて行こうとする和樹に、後ろから衝撃が。階段の下に落ち、和樹は意識を失う。
「もしもし?和樹?」
和樹の手のひらから仲良し家族どんぐりが落ちて、階段に散らばる。
振り返るそら。
車の荷台に何かを詰め、トランクを閉める黒いフードの人物。その車は駐車場から素早く走り去って行った。
和樹?、と呟きながら不思議そうにスマホを見ている亜紀。

第9話≪完≫

感想

いやぁ、泣いた。泣いた。めちゃめちゃ泣いた。
良かった。よかった。色々良かった。
でもさ、弓子も悪くないよね、すべては和樹を守るが故の行動であって、根っからの殺人な訳じゃないし。正当防衛だからってきちんと話して、あそこで和樹を手離してはいけなかったという事なのかな?すべては手離してしまった弓子が悪いって結論になるのかな、なんか悲しいですね。
想いは亜紀と同じなのに。
むしろ和樹には自分を深く思ってくれる母親が二人もいる幸せ者だ、と感じて欲しいですよね。
同じ気持ちの二人としてこれからも二人体制で和樹を愛し続けていけたら、って。
そんな考えは甘いんですかね、弓子の母親は過干渉でってありましたけど、そんな親が嫌で自分も飛び出してきたくせに、自分も監視したり尾行したりしてかなり過干渉。
そこには気付いてないのかしら?
それくらい執着心の強い弓子には二人で一緒になんてのは、許せないんでしょうかね?
完璧主義者でもありそうだから、弱弱しいナヨナヨしてる亜紀はもうイラつく対象なんでしょうか(笑)。

それにしてもはハーメルンは誰なんでしょう?
かなりマンションも出入りしてますよね?でもみんな気にもせず、普通にしてるし。ロビーの人も普通に見てるわけでしょ?最初、亜紀の実母の久美子が入ってきたとき、変質者的扱いされてたもんね?高野亜紀さんなんていませんからってあしらわれてたよね?
部外者が入ってきたらすぐ止められるだろうし、って事はマンションに出入りしても問題ない人だ?
ってことはあれだ、ハーメルンの犯人は、ホラン千秋だ!!
懐かしの(笑)。
2階に住んでるって事でかなり卑屈だったし、いつかギャフンと言わせてやる的な姿勢だったし。今回最終的な標的、寛子の息子、俊介を拉致れたわけだ。今まではカモフラージュで、狙いは最初から俊介ただ一人だったんだ。でももう一人、男の共犯と言われると、???
二の腕くん??(笑)

一回、ハーメルン犯人は生方説も考えたんですけどね。
地元の母親が体調良くないって何度か言ってたから、体調悪いって言うよりかは認知症だったんじゃないかと思って。それでいつも定期的に帰って面倒見てて、この歌を知ってて、みたいな。
あと、生方二重人格説とか?(笑)
この口笛の曲をふくと人格が変わって、子供を拉致る。実家に帰ると人格変わって帰ってくる?みたいな?何か実母との暗い過去とかがあって、多重人格になってしまって、でも普段というか日中は普通で、ハーメルンになった時の記憶は一切覚えてない、みたいな??
でもそうなると共犯は実母の、認知症おばあちゃんくらいしか思い当たらないけど(笑)。
まぁ多重人格でなくても生方なら正義感から拉致るってのはありそうかな?
少なくとも、拉致られてる子供たちはダメな母親っていう点でみんな共通してるわけだし、適当に拉致ってたらこうは行かないよね。あと体操教室で子供たちの話とかよく聞こえてきそうだし。
次回予告で荒又さんがコイツだったんだ、みたいな発言をしてたけど、荒又と面識があった誰かってことだよね?今までドラマに出て来てて荒又が知ってる人?それとも最終回でお初の人??(笑)

う~ん!気になる!
でもなにより、お兄ちゃんの和樹、やっぱり良い子で良かった。優しい子で良かった。
ほんとに、一番そこが良かった。それが分かっただけでも今回はかなり満足度の高い回でした!!
綺麗な美しい涙をありがとう!!