テレビ

『砂の塔~知りすぎた隣人』第7話ネタバレ&感想レポートその2

『砂の塔~知りすぎた隣人』第7話 PART2!


『砂の塔』ネタバレ&感想レポートその1はこちら

江戸川区立 第八葛西小学校の昇降口前。
女性教師に聞き込みをしている刑事・荒又(光石研)と津久井(上杉柊平)。
玲雄くんが行方不明になった事件について、先生は何の心当たりもないんですか、とメモ書きを手に質問をする津久井。
もちろんです。穏やかでいつもニコニコしているごく普通のお子さんです。まさか事件に巻き込まれるなんて、と、その女性教師は話す。
ふと荒又はこちらを壁に隠れるようにして覗いている少年に気付く。荒又と目が合うと、その少年は踵を返し、去って行こうとする。慌てて荒又は声を掛け、追い掛ける。
少年の手提げ袋には『6年3組 田村卓哉』。
行方不明になっている玲雄くんについてなにか知っているかい?と穏やかに話す荒又。
何かを言いたいような素振りを見せる少年に、何かを知っていると確信する荒又。

亜紀の家。リビングでお絵かきしているそら(稲垣来泉)は亜紀(菅野美穂)の方を気にしている。
亜紀は今日も和樹の部屋の扉の前に立ち、声を掛ける。ノックをして名前を呼ぶ。
和樹、表彰式、和樹が嫌ならお母さん行かないよ、と話し始める。
でも和樹には一人でも行って欲しいな。和樹がずっと頑張ってきたことが認められたんだもん。こんなに嬉しい事はないよ、と初めは笑顔を見せていた亜紀だったが、だんだん涙がこみ上げてくる。
和樹、なにがあってもお母さんは和樹のお母さんだから、と絞り出して声を張る亜紀。
「和樹の事、世界で一番、大事に思ってるからね」
部屋の中で横になっている和樹(佐野勇斗)。
ベッドに横になりながら扉を見詰めている和樹。ふと天井を仰ぎ、ため息をつくと携帯が鳴る。
見てみるといつもの友達からのLINE。
和馬からの『日曜、2時にいつものとこな!』の文字。
その文字を見詰めた後、強い表情で天を見上げる和樹。ご飯だから手を洗おう、と亜紀がそらに話している後ろで、ふいに和樹の部屋の扉が開く。そこには和樹が立っていた。
「なに言っても怒らない?」
静かに頷く亜紀。和樹はゆっくり小さな声で話し始める。
10月29日の事だけど、と和樹。
和樹が誘拐犯じゃないかって警察に疑われてた日?、と亜紀。頷く和樹。
これ違くない?
疑ってたのあなたやん!!って亜紀に突っ込みたくなっちゃった(笑)。
警察は最初はあくまで誰にでも話を聞きに来るだけだし。決めつけて来てたわけじゃないし。
しかもわざわざそれもう一回言う必要なくない?10月29日が誘拐犯だと警察に疑われた日、だなんて。そんな代名詞にしなくても。ドラマだからだろうけど、わざわざ言葉で蒸し返す母ちゃん、どうなの??って思っちゃった(笑)!!
和樹も普通に頷いてたけども。なんだかなぁじゃない?(笑)
「友達といたんだ、前の学校の」
万引きしたものを横流ししたりとか、ヤバい事やってるやつら、と目を合わせずに和樹は続ける。
「俺はやってないよ、万引き」
でもそいつらに根性ないって言われんのが嫌で、貯金降ろしたりして金作って、その金でゲームやスマホ買って、万引したふりしてそいつらに。
亜紀はつらくなり、表情を歪める。
でもさすがにこのままじゃダメだ、いい加減やめなきゃって。だから、と和樹は亜紀の顔を見る。
「あいつらとは縁切ることにしたから」
亜紀の顔をしっかり見ている和樹。亜紀はゆっくり頷く。
「本当だよ、母さん。」
和樹のその頼もしい表情に胸がいっぱいになる亜紀。和樹の手をぎゅっと握る。
「ありがとう。話してくれて」
頷く和樹。
涙目の亜紀はスーツを見て、と和樹に言う。それを受けてそらが和樹の部屋のドアノブにかかっている表彰式のためのスーツを持ってくる。そらから受け取り、そのスーツを眺める和樹。
和樹に絶対に似合うと思って奮発したんだ、と亜紀。
ありがとう母さん、と笑顔を見せて和樹が言う。
その表情にまた涙があふれる亜紀。
表彰式、本当に来てくれる?と和樹。勿論!と笑顔で答える亜紀。

日曜、表彰式の日。
スーツを着て、マンションのロビーにやって来る和樹。
先にロビーにいた亜紀とそら。和樹に気付き、振り返って言う。
「お兄ちゃんかっこいいね~!」「ねぇ~!!」
照れたように笑う和樹。
今日、父さんは?と和樹が聞く。仕事だからねぇ、と小さくなって答える亜紀。
じゃあ帰り遅いかな、と和樹が重ねて聞く。
多分ねぇ、どうして?、と驚く亜紀。
あ、いや、なんでもない、と和樹。
少し不思議に思ったが、気にせずスーツを調えてやる亜紀。その時に和樹の首元にアザらしきものが見える。
「これどうしたの?」、と慌てる亜紀。
「あ、多分体育の柔道でぶつけられた」、と笑ったように和樹が言うので亜紀も笑って気を付けなさいよ~、と返す。
和樹はそらを抱っこし、笑顔を見せている。
そんな光景を弓子(松嶋菜々子)は遠くから目撃する。
ふと弓子がこちらを見ている事に気付く亜紀。目を泳がせるも、気丈に振舞い、三人で外へ向かう。
寒い中亜紀とそらがキャアキャア騒ぎながら歩いていく後ろを、ゆっくり和樹がついていく。その後ろ姿をずっと見詰めている弓子。
う~ん、弓子の気持ちも切ないな、自分が悪いんだろうけど。
でもあんなに背も大きくなって大人みたいなスーツを着こなせるほどに成長した自分の子供を見れるって感慨深いよねぇ。
関係ない自分もなんか胸がいっぱいになる思いです(笑)。

マンションを出てすぐ、和樹は立ち止まり、先行ってて、と二人に声を張る。
携帯忘れたから取りに行ってくる、と。
じゃあ先に行ってるね、と進んでいく亜紀とそら。
その後ろ姿を見て、涙があふれる和樹。

一足先に着いて、たくさんの写真が展示されているコーナーを順番に見て回る亜紀とそら。
「あ、これお兄ちゃんの名前?」

佳作入選 『無題』 高野和樹
〈総評〉 子供が母親に抱く、一途で健気な思いをよく表現している一枚。

そらの声に顔を向けると、そこには大きく拡大されて展示されている和樹の写真があった。
「わぁ…」
それはある一組の親子の写真だった。小さな男の子が満面の笑みで目の前の母親の事を見ている。何かをご機嫌に話し掛けているのかもしれない。
「ママ、これなんて書いてあるの?」
「子供が母親に抱く一途な健気な思いをよく表現している一枚、だって」
「子供はみんなママが大好きっていうこと?」
「そうだねぇ」、と亜紀が言うと、そらからの素朴で辛辣な一言が。
「でもこの写真ママの方は、子供見てないよ?」
亜紀はハッとする。突然、弓子の言葉が蘇る。
≪あなたは和樹のことがなにも見えてない≫
≪母親って苦労の数でなるものなの?≫
≪本当の和樹をどれだけ知ろうとしてる?≫
不安な気持ちに襲われる亜紀。辺りを振り返るが、和樹はまだ来ていない。

『第23回 江東区写真コンクール 2016』
『11月20日(日) 10:00~18:00 豊洲ビックセンター1階ギャラリー 入場無料』
『表彰式 14:00~ 同センター5階ホール』、と書かれた入口まで出てくる亜紀とそら。
「遅いねぇ、お兄ちゃん」、やっぱり和樹はやって来ない。

一方高野家の部屋。部屋中が荒らされている。部屋には和樹が一人。
そこらじゅうのタンスや引き出しを開けて必死に何かを探している。
やっと封筒に入った現金を見つける。
中身を確認すると苛立ったように、「足んねぇよ!」、と封筒を床に投げ捨てる。
会場から和樹に電話を掛ける亜紀。
家にいる和樹の携帯が鳴る。それはいつもの仲間からのLINE。
和馬『おーい、金まだ?』
ツバサ『ノルマ10万ね』
MaSaTo『……抜けたら極刑ね』
その文字に崩れ落ちる和樹。頭を抱え、絶望に打ちのめされる。
和樹への電話は繋がらない。
「そら、帰るよ」
一方、会場にいた亜紀は家に向かって歩き出す。
絶望の淵にいる和樹は、そらのものだと思われるぶたさんの貯金箱を何の躊躇もなく、床に投げ付けて割る。粉々に砕けるそらの貯金箱。その中の小銭を慌てた手付きで拾い集めている。
「どうすりゃいんだよ…」
亜紀とそらは部屋の前まで戻って来ていた。急いで鍵を開ける。部家の中に戻った亜紀は驚愕する。まるで泥棒でも入ったかのような家の散らかり具合に。
「なに、これ…」
寝室には砕かれたぶたさんの貯金箱と、空(から)になって床に落ちている銀行の封筒。
一方、必死に和樹はマンションの外の道を走っていた。
その姿をたまたま目撃する成美(川津明日香)。和樹が必死の形相で走って行ったのを不審に思う。

橋の下で仲間が待っている約束のその場所へ、姿を現す和樹。
「遅せぇよ、ばーか、来いよ!」
「待ってたよ、ばーか」
背中を強く押され、集団の真ん中に連れて来られる和樹。
「持ってきた?」
封筒を開けると、たくさんの万札に複数の少年たちはウェ~イ!と一斉に声を上げる。
「からの?」
しかしもう片方には小銭のみ。
「は?」「こんだけ?」
「全然足んないよ、10万っつっただろ」
何も言わず、じっと見ている和樹。
「何だよ、その顔。万引してるふりしてたお坊ちゃま!」
「中学ん時からただのカモだったくせによぉ。高級マンション引っ越したらそんなに偉いのかよ?」
突然腹を蹴られる和樹。地面に倒れ込む。
「約束通り、極刑な」
泣きそうな表情の和樹に少年は言う。
「なにをされたい?」
ネクタイを掴まれる。
和樹の後をずっとつけていた成美はその一部始終を見ていた。
夢中で見入っていて、思わず近くの自転車にぶつかり、派手に倒してしまう。いくつかの自転車が倒れる大きな音に集団は気付く。見てんじゃねぇよ!と成美は遠くから怒鳴られ、慌てる。
が、成美には寄ってくることもなく、和樹だけを連れて、集団はどこかへと歩いて行ってしまう。和樹は集団に脇を抱えられ、力なく歩かされて行ってしまった。
健一(田中直樹)の携帯番号を表示して、電話を掛けようとしている亜紀。
すると家の電話が鳴る。亜紀が出ると、相手は成美だった。
「どうしよう!和樹くんが!!」

マンション内のキッズスペースのような場所に一時的に、という事でそら(稲垣来泉)を預ける亜紀。
すぐに戻って来るからね、とそらに言い聞かせ、その場を後にする。
一方、今井玲雄くんの家に来ている刑事の荒又(光石研)と津久井(上杉柊平)。母親に話をして聞かせる荒又。
「いじめ?」母親(酒井美紀)は聞き返す。
「お友だちの話では玲雄くん、かなり前から中学生にいじめられてたみたいです。お母さんには言いにくかったんでしょう。仲の良い親子ほど心配させたくないもんですから」
驚きを隠せない母親は壁に飾ってある玲雄の写真を見上げる。荒又は続ける。
これはまだ誘拐事件かどうか分かりません。でも、もしかしたら玲雄くん、いじめを受けて追い詰められたのを見計らった誘拐犯に声を掛けられ、ふらりとついて行ってしまったのかもしれません。つらい現実から逃げ出すために、と。
「つらい現実?」、と繰り返す母親。
「お母さん、言いにくいんですが、いじめっていうのは時には命さえ奪う暴力なんですよ」

屋根のある通路の途中で隙をついて引き返し、集団から逃げようと走り出す和樹。
しかし相手は複数人。すぐに捕らえられてしまう。
≪なんか和樹くん、中学の時の頃からいじめられてたみたいで≫
走り出す亜紀に成美から聞いた言葉が響く。
≪ずっとカモられてたって≫
≪金…≫、と冷たい言い方で、手を差し出していた和樹。
≪和樹くんにはなにか人に言えない悩みがあるんじゃないですか≫担任教師の声。
たすけて、のパソコンの文字。
体育の柔道で、と話していた和樹の首のアザ。
亜紀は走る。
≪あいつらとは縁切ることにしたから。本当だよ、母さん≫
色々な記憶が亜紀によみがえってくる。
必死で走る亜紀。

スポンサーリンク

どこかの室内に入った集団と和樹。逃げようとすると強く押され、勢いよく壁に打ち付けられて、倒れ、しゃがみ込む和樹。
ふと和樹はスーツに血が付いたことに気付く。
「どうしたよ?」
≪絶対に和樹に似合うと思って奮発したんだよ≫
和樹に亜紀の言葉がよぎる。慌てて手でこすり、その血を拭き消そうとする。
「お洋服なんか気にしてる場合じゃねぇだろ、おぼっちゃま!」
無理矢理立たされ、壁に打ち付けられる。後ろから三人がかりでスーツのジャケットを脱がされる。「やめろ、返せ!」
和樹は素早く反応し、取り戻そうとする。しかし他の二人が両腕を押さえ、身動きが取れない。
ジャケットを持った少年は一人離れて遠くへ向かって歩き出す。
腕を振りほどき、その少年を追いかけ、後ろから捕まえる。返せ、と後ろからその少年を押し倒し、揉み合いになる。しかしすぐに他の仲間が和樹を取り合さえる。ジャケットを奪い取った少年が苛立ち、和樹を殴りつける。
その頃亜紀は成美とやっと合流する。
成美は和樹は倉庫街の方へ連れて行かれたと話す。
亜紀はここで警察を待って、と成美に伝え、一人で倉庫街の方へ向かう。
地面に横たわる和樹に容赦なく蹴りを入れる少年たち。和樹は遠くに落ちているジャケットを見詰めている。亜紀はどこかの倉庫の中へ入り、和樹!と叫ぶ。
表情がうつろになってきた和樹を見たある一人がそろそろヤバいって、と言うも、まだイケんだろ、と、もう一人の少年は手を緩めようとしない。胸倉を掴んで和樹を持ち上げるが、和樹の目の焦点は合っていない。
そしてその少年が和樹を殴ろうとすると、突然、倉庫内の照明がつく。
少年は驚き、手を離すと和樹は床に倒れ込む。
そのうつろな瞳にある人影が写る。
その人物はなんと佐々木弓子(松嶋菜々子)だった。なんでやねーーーん!!
「おばさんなに?」
「忙しいから邪魔すんなよ!」少年たちが弓子に向かって凄んで言う。
和樹は動けずに倒れたまま、驚いた表情で弓子を見ている。
弓子はスマホでこの光景を写真に撮っている。倉庫内に携帯のシャッター音が響く。
「おい、なに撮ってんだよ」
少年たちが騒ぎ始めると、自分の撮った動画を再生し、少年たちに提示する。それは倉庫内で少年たちが和樹に暴行を行っているさっきまでの一部始終だった。弓子は口を開く。
「あなたたちのしてた事は傷害罪。脅迫罪、恐喝罪、それから暴力行為法違反。逮捕されたら間違いなく少年院送りね。この動画もネットに流しておくわ。これで全員退学。」
弓子は畳み掛ける。
「就職はおろか、街を歩くことさえ出来なくなる。この先一生ひとの目に怯えながら生きていくのよ」
凍り付く少年たち。和樹は少し体を起こせるようになっていた。
「言っとくけど、仕返しに彼を傷付けようなんて考えない方がいいわよ。」
そう真っ直ぐに言い放つ弓子は少年たちに一歩一歩歩み寄る。後ずさりする少年たち。
「もしこれから先、彼に指一本でも触れたら、私があなたたちを殺す」
驚ている和樹。
そんなこと出来るわけねぇだろ!、一人の少年が冷静に言い返す。
「こう見えて私、もう一人殺してるのよ。何人か増えたってどうって事ないわ。もし今殺し損ねて捕まったとしても、刑務所を出たらまたあなたたちを殺しに行く。そこで殺し損ねてもまた行くわ。」
弓子一歩進む、少年たち一歩後ずさる、を繰り返す。
「息の根を止めるまで、何度でも」
弓子は少年たちを一通り全員見渡してから、主犯格の少年と目を合わせる。そして歩み寄り、微笑んで言う。
「一緒に地獄に落ちましょう」、と。
ふいにパトカーのサイレンが聞こえて来る。それに気付いた少年たちは全員慌てるようにその場を後にした。その場に取り残されたのは動けない和樹と弓子。驚く和樹は立ち上がろうとする。
「な…んで…」
動かないで!、と弓子はしゃがみ、和樹の腕を支える。
すると和樹は安堵からなのかふっと意識を失い、倒れてしまう。
一瞬で和樹が倒れると気付いた弓子は瞬時に和樹を抱きとめる。弓子は和樹の顔を見る。
顔中傷だらけで、目を閉じて倒れている最愛の息子。
弓子は何度も何度も和樹の頬や髪をなでる。
「もう大丈夫よ」

救急車が入っていくのに気付き、亜紀はそちらへ走り出す。
担架に乗せられ運ばれていく少年が和樹だと気付く亜紀。
和樹!、と叫んで近寄っていく。首は固定され、担架に縛り付けられ、顔中傷やアザだらけ。呼んでも和樹は目をあけない。
「和樹?大丈夫なんですか?怪我は?」
すいません、離れてください!と救急隊員にどかされそうになる亜紀。それを振りほどき、亜紀は話し掛ける。
和樹、ごめん!ごめんね!いじめの事気付かなくて、気付けたはずだよね、あたしがちゃんとした母親なら…、と和樹の顔を涙一杯に見詰める亜紀。しがみついてごめん、ごめん、と謝り続ける。
すると搬送を急ぐのでどいてください、と引き剝がされてしまう亜紀。
担架は救急車へと乗せられていく。後ろから弓子がやって来て声を掛ける。
「これで分かったでしょ?」
振り返ると弓子がいて、驚く亜紀。
「積み重ねてきた年月なんて何の役にも立たないの。命がけで子供を守る覚悟もないくせに、そんな女が母親って言える?」
返す言葉が見付からず、何も言えない亜紀。俯く。
「私はあなたとは違う」弓子は続ける。
「和樹のためなら、地獄にだって落ちる覚悟はある」
怒りの表情で亜紀を見ている弓子。
悔しさや悲しさで息の荒い亜紀。
「付き添いのお母さんというのは…」、と救急隊員が呼びかけると、「私です」、と弓子が間髪入れずに答える。
こちらへどうぞ、と促され弓子は救急車に手際よく乗り込んで行ってしまう。
慌てて追いかけるも、救急車の扉は閉ざされ、夜の町へと姿を消していってしまった。
いつしか降り出した雨に打たれ、亜紀はその場で座り込んだまま動けなかった。

「子供のいじめに気付けなかった母親。いくらなんでもそんぐらいで、虐待やネグレクトと同じ罪の深さとは言えないですよねぇ?」、と津久井。
同じだよ、と荒又は言う。
部屋の前のゴミ集積所に、今夜はゴミがたくさん出されている。そちらを見ながら荒又は言う。
そしてなにかに気付く。荒又は進み出て、青い何かを手に取る。
それは今井玲雄くんのおうちに飾られていたサッカーの写真で見たのと同じ、青いユニフォームだった。そのユニフォームの背番号は22、手書きの文字で『今井れお』。
ゴミの集まりの中からそれを持ち上げると地面に黄色いカーネーションが落ちた。
「黄色いカーネーション」、と津久井が呟く。
荒又は怒りを見せて叫ぶ。「調子に乗りやがって!」

降りしきる雨の中、亜紀は一人で夜の街を歩いていた。和樹の搬送先の病院を目指してだろうか。誰にも電話を掛けることなく、傘も差さず、フラフラと力のない足取りで前へ進むだけだった。
そこへ傘をさして生方(岩田剛典)が前から歩いてくる。
フラフラな亜紀に気付き、慌てて駆け寄ってくる。「どうしたの?」
風邪ひく、と自分の上着を脱ぎ始めると、それに気付いた亜紀は制すように声を出す。
「大丈夫!」
目も合わせず、涙で溢れた顔を隠して、大丈夫だから、と繰り返す。
そうとだけ言って、またフラフラと歩き出し、進んでいってしまった。生方は意を決して、亜紀を追いかけ、腕を掴む。驚く亜紀は立ち止まり、生方を見上げる。
俺のこと優しいって言ったよね?俺優しくなんかないよ、いいやつでもない、と生方は話し出す。
「いつも亜紀さん見るたびに思ってた。なんで結婚なんかすんだって。」
驚きつつも、頭が働かないようで、呆然としている亜紀。
「俺が奪ってやりたいって」
生方はそう言って、傘を手放し、亜紀を抱きしめる。

第7話≪完≫

感想

これ弓子さんずるくないですか??
普通の母親ってのは毎日毎日子供について歩くわけにいかないし、常に監視して生活するわけにはいかないんですよ。仕事だってしないと食べていけない。でもお金を持ってる家なんだか知らないけど、それが弓子は出来ている環境にある。犯罪者に成り下がる覚悟でいつも和樹を遠くから(近くから?)見守っている。いや、分かりますよ。それくらい愛しているんでしょう。
でもね、よく考えて欲しいんですよ。もし、弓子が母親だったら、お金持ちだったとしても亜紀的立ち位置の母親だったら。やっぱり和樹は弓子に初めは、いじめの事はずっと黙ってると思うんです。
言えないでいた、と思うんです。普通そうじゃないかな、って。それが子供の普通の心理だと思う。親がどうとかじゃなくて、子供の本能って言うか。それでも弓子は独自に尾行するから自力で気付くんでしょうけどね。
でも子供からは言いだせないと思う。普通は。だからこそその後の対応が大切なわけだし、親によっても違ってくるし、方法はいろいろあると思う。でもまずは言えない、って思うよね、子供の気持ちもあるわけだし。
確かに亜紀の場合、気付いてあげられたチャンスはあったわけだよね、中学の頃和樹は一度サインを出してるから。だからそこを責められたら亜紀はもう申し訳ないって伝えるしかない。でも弓子がその立場だった時、和樹が言えないでいたから自分は母親の資格がないと自分で結論付けるわけ?母親放棄すべきだと自分に言い聞かすわけ?違うよね?
親子は一日ではならない。毎日話し合ったりぶつかり合ったりしながら、真剣な思いを伝えて、真剣な思いを受け取っていくんだよね。まだ亜紀と和樹の親子人生はこれからもずっと生きて続いていくんだよ。なんでそんな途中に横から来て、母親失格ね、とか良い母親な訳ないじゃん、とかどの口が言えるの?って思うんですけど(笑)。
みんな試行錯誤しながら一日一日を生きるのに。
何でもう結論を出そうとしてるわけ、この人。そもそも自分から手放したくせに。

弓子はもろもろすべて監視して把握して、計画して動いてるから、どんな時も痒い所に手が届くっていう感じで完璧で、見てて逆にイライラする(笑)。亜紀は亜紀ですぐにキャパオーバーになる感じでおどおどして言い返せなくて、弱弱しくてそれはまたそれでもう!なにやってんの!ってなっちゃうけど(笑)。でもなんてことない普通の母だろうなって思う。
でもさ、弓子の文句ばっかになるけど、一度は手放したんだから亜紀にお礼の一つでも頭でも下げたらどうなんだろう。手放したのは自分じゃん!どんな理由があったにせよ、あんなスーツを着れるくらいに大きく育ててくれた亜紀に頭が上がらないはずだけどなぁ。
でも多分仕方なかったんだろうなって展開になるんだろうね。何も言わずに出て行ったんではなくて、あの血の付いたよく浴槽の事が関係しているはずだよね。あの事があったから健一は弓子との離婚を決め、弓子の事件?がバレない様に縁を切って和樹を引き取ったんだ。その事件は和樹を守るためにはどうしても必要な殺人?だった訳で、弓子は和樹を守るために闇を選び、明るい道を和樹に歩かせるため、健一に託したわけだ。
もしくは、殺人は弓子は実はしていなくて誰かをかばっている、でも自分ですべて背負うと決めて、和樹は健一に託した。警察署によると殺人ではなく殺人容疑だからそもそも誰も殺してない可能性もあるけどね。ミスリードに継ぐミスリードで実はたいした事ないかもだし(笑)。
まぁ、話を戻して、前科者(?)という事をよく自覚しているから取り戻したいわけではないのかも。ただただこれからもずっと心配だから傍で監視していきたいのかも??周りの家族的には迷惑だろうけど、うっとおしくて(笑)。
あとはやっぱり亜紀が羨ましくて意地悪したくなったんだろうね。

そんなんでよくもまぁ、あんなに偉そうなことを言えるもんだ。
結局誰かを殺したのか。殺していないのか。殺したとしたら誰なのか。和樹を守るために、生きていくために必要な、致し方のない決断だったんでしょう。気になりますね。

あとね、分かっちゃいましたよ。ハーメルン事件。これね、子供たちが自発的に動いてますよ。
ネグレクト、ギャンブル依存、不倫、いじめ、色々ありましたが、今回の話のいじめがネックかと。
これがネグレクトなどと同じくらいの傷になるなんて分かる他人はあまり考えられません。普通は当事者自分一人が気付くことであって、他人にその傷の深さは計れません。
不倫やギャンブル依存で放ったらかしにされる子供たちの気持ちが、母親にいじめに気付いてもらえず助けて貰えず、孤独を感じている子供の傷と同じ深さだなんて、一般的にそこに気付ける大人・赤の他人は殆どいないでしょう。荒又さんはさすがです!

だから誘導している大人は確かにいるかもしれない。でもこれは誰かに連れられているのではなく、自分で行ってますみんな。
そうだなぁ、例えば、弓子がお金持ちで山梨県のどこかに別荘を持っていて、そこへの行き方と、家を出てくるときの決まりを書いた紙を渡して、目を付けた子達に渡す。紙は証拠になっちゃうから口頭で伝えるだけかもしれないけど。
出てくるときは普通の格好で、だけど自分の普段の持ち物一つだけ選んで、それに黄色いカーネーションを添えてきてね、って。全部みんな自分でやってから来るの。きっと。
そしてみんなそれぞれに歩いてその別荘へ向かう。前回の千晶ちゃんは途中で衰弱しちゃって山梨県の途中で倒れちゃった。でも普通はみんな辿り着けてて、その別荘でみんな元気に過ごしている、みたいな。

むかし、QUIZってドラマがありましたよね。
誘拐事件の犯人は子供達だった、ってやつ。あれ思い出しちゃいました。
財前直見さんと神木隆之介くんのドラマ。あんな感じで子供たち発信の復讐劇なんじゃないかと。
でも誘導してる大人はいそうだけど。子供たちは幼稚園児の子とかもいるからね、さすがに。
黄色いカーネーションなんて幼稚園児にはなにそれ?って感じでしょうし(笑)。
うーん、色々話が進んできましたねぇ!どうなることやら!!